認知症になる前に、財産管理の方法を決めておきたい。
鈴木元明さん(75才)は先祖代々受け継いできた土地と、築40年の木造賃貸アパートを所有しております。老朽化が進んでいる上、近隣にスタイリッシュな鉄筋コンクリート造りのマンションが建ち、機能的な見劣りも目立ってきました。元明さんは、アパートの建替えを検討をしているところですが、その資金を現金で捻出するか、もしくは現在利用していない土地を売却してその売却代金で賄うかなど決めかねているうちに年数を重ねてしまったとの事です。
また、特にこれまで相続税対策については考えたこともありませんでしたので、もしこのまま相続が発生すると、多額の相続税を納めなければならなくなります。
元明さんの推定相続人は、妻美和子さん(70才)、長男卓也さん(45才)、次男健太さん(40才)、長女心美さん(37才)で、4人の関係は極めて円満です。健太さんは他県で家庭を築きこちらに帰ってくることはないと言っており、心美さんは、嫁いでいるので、先祖代々受け継いできた不動産を中心にほとんどの財産を跡継ぎの卓也さんに相続させ、祭祀主宰者として鈴木家を継続してほしいと元明さんは考えています。もちろん、その事について鈴木家親族一同が納得しています。
現在、元明さんはいたって健康でありますが、年齢を考えると早急に相続税対策を施さなければなりません。しかし、これから対策を始めても終了まで数年はかかると予想され、また計画途中で元明さんに認知症が発症するようなことがあると、たちまち計画がストップしてしまうということで、八方塞がりの状態になってしまったようです。
最近では趣味のウォーキングにも集中することができずに、家に閉じ籠ることも多くなって家族は心配しております。