種類株式の活用
種類株式とは
平成13年11月の商法改正により拡充された種類株式は、その後数回にわたる改正を経て平成18年5月1日から施行された会社法によって確立しました。種類株式の改正は、企業の再構築の一環として行われてきましたが、今までの株式の概念である、「株主平等の原則」が大幅に改正され、複雑で難解なものになりました。
しかし見方を変えれば、バリーションが豊富になり、種類株式を組み合わせることにより様々な企業形態に合うパターンを作りあげることができますので、事業承継にかなり有効な手段として活用されることになりました。
9種の種類株式
種類株式には下記の9種類が法定されています。いずれも登記に定める必要があります。
譲渡制限株式 | 会社の承認がなければ譲渡できない旨の制限が付された株式 |
議決権制限株式 | 議決権の行使について、何らかの形で制限が付された株式 |
配当優先(劣後)株式 | 配当に関して優先(または劣後)の取り扱いがされる株式 |
残余財産分配優先
(劣後)株式
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会社の解散時等で残った財産の分配を受ける権利について優先(または劣後)の取扱いがされる株式 |
取得請求権付株式 | 株主が、会社に対して自分の所有する株式を取得するよう請求することができる株式 |
取得条項付株式 | 一定の事由が生じたことを条件に、株主の同意なしに強制的に会社が株主の所有する株式を取得することができる株式 |
全部取得条項付株式 | 株主総会の決議をもって、その種類の株式すべてを会社が取得することができる株式 |
拒否権付株式
(黄金株)
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定款に定められた事項について、取締役会、株主総会等の決議のほか、その株式を所有している株主の承認を得なければならないと定められている株式 |
役員選解任権付株式 | 各株主グループにおいて、取締役や監査役として選任(または解任)する権利が付された株式 |
この中で、特に画期的な種類株式であるのが、「取得請求権付株式」と「取得条項付株式」です。これらはいずれも、会社と株主との間での株式売買を、いずれか一方の意向だけで強制的に実現させる効力、すなわち従前の株式制度では認められていなかった権利を持っています。